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座談会

第2回 プルータス座談会【タイ編】-3

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座談会参加者 : 佐藤執行役員・松浦部長・田中(国際部)、益子・中山(東京営業部)

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【タイ編】-3 海外との取引は為替変動に気をつける

 

【佐藤執行役員】(以下佐藤さん)
以前タイプルータスが、IT関連で代表的なAという会社に我々から商品を輸入して販売していたことがあったの。彼らの口銭の比率は結構低かったようだけど、我々は間違いなく多少は手元に利益が残ってるなと思っていたわけ。ところがね、いざ調べてみたら実はそうじゃなくて!!為替の方でものすごくマイナスの仕事をしていたのがわかったの。

【中山さん】
あ、取引ありましたよね!その様なリスクはありますよね……。

【佐藤さん】
うん。訳を説明しますとね、まずタイ側は日本からは円で商品を輸入するときに、円からバーツに換えて仕入原価を算出します。
それで販売代金はお客さんからバーツで回収します。
そして、回収したお金で今度日本に仕入代金を支払う時にもう1回円に換えます。そこで為替が発生する!!

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※当時の流れです。↑↑

【佐藤さん】
タイ側はお客さんとバーツで契約をしますよね。その時に円からバーツに換算した時のレートが1。次に、日本円で仕入をした材料の仕入原価を算出するときのレートが2。最後に、仕入代金を日本側へ支払う時の換算レートが3。最終的には3つのレートがあるわけね。これらをちゃんと確認しないと為替リスクってのがあって、利益がすっ飛んじゃうことがあると。当時はこの辺をコントロールして、必ず手元に利益が残るような仕組みづくりが上手く出来ていなかったんだね。

【益子さん】
すみません、質問なんですが。
一般的な為替リスクを見込んであらかじめその分の価格を乗せる……とかそういうのはないんですか?

【松浦さん】
うん、まあやり方としては間違いじゃないですよ。

【佐藤さん】
そうね。だけどそのリスクヘッジの為に、±○○%として、その間に入っていればいいけど、飛び越しちゃう時。これはもう完全に身銭切る格好になるよね。かと言って、見積価格を提示するときにリスクの%を見すぎると価格が高くなって、まとまるものもまとまらないケースがあるよね。

【益子さん】
そういうことになりますよね。

【佐藤さん】
だから、見積をするときにあらかじめお客さんと条件の取り決めが必要になるよね。

【益子さん】
ああ……なるほど。

【佐藤さん】
これはさ、どこが悪いわけでもないのよ。レートなんて誰にもわからないし、決められない。でも為替差損でたとえば数千万!とかいったら大きいよね……すみませんじゃ済まない。

トラブルにならないようにするために……気をつけることは?

 

【松浦さん】
為替リスクがあるので都度の契約というか、そういうのがあった方がいいってことですよね?「ここまできたらちょっと値段と様子見て……」というか、多分そういうのあると思うんですけど。

【中山さん】
国内でも例えば見積りの期限があったりとか。それと同じような感じですよね?

【松浦さん】
そういった感じですね……。外国と色々条件交渉をする時にまず「この価格でやります!」と。「但し、為替変動があるので必ず注文の時には何日以内に回答下さい。過ぎた時には改めて見積りし直しとなります。」と必ず提示します。これ英語でFirm offerと言うんですよ。

【佐藤さん】
これは、単なる見積りとは違うんです。「何日~何日まで有効です」って出したその間にレートが大きく変わって大損!!となる場合も、その期間内に注文が来たらうちは断れない。そういうリスクがあります。だから、Firm offerで見積もりを出すなら有効期間はあまり長くしないほうがいいね。
でね、それとは別によくQuotationっていうのもあるけど、これは単なる見積り。日本語で言うと見積にはなるんだけど、意味的には「相場」に近いかな。大体このくらいの相場です、というような。

【田中さん】
Firm offerはもっと厳密にという感じなのでしょうか?

【佐藤さん】
厳密というかね、Firm offerはもう「確定条件」なんです。

【田中さん】
なるほど。期限が付いていてもう確定なのがFirm offer。Quotationは大体今こんな値段ですよ、といったところということですね。

【佐藤さん】
うん、Quotationは期限をつけない。あるいは「Subject to final confirmation」(サブジェクト トゥ ファイナル コンファメーション)ていう表現もあります。これは「当方の最終確認を条件とします」ということです。先方から注文が来た時にその価格で受けられるならそのまま受ければ良いし、もし無理なら受けられませんとした上で、改めて価格を提示すればよいのです。

【中山さん】
国内で言うQuotationは大体電話でちょちょっと言うようなイメージですけど、
それでやり取りすると言ったとか言わないとか、そういうトラブルを招くことになりそうです。

【佐藤さん】
うん、まぁ、人間ってのは忘れる生き物だからね。だからそういった問題を防ぐために、特に外国相手だとやっぱり書いたものでお互いに確認する必要がある。「言ったじゃん!」「聞いてねえよ!」じゃ始まらないからね。

【全員】
はい、そうですよね!

 

== 次回へつづく ===

次回【タイ編】-4は「三国間貿易について」をご紹介致します。